扇子とオリジナルテキスタイルの布製ケース

EDOSENSU

扇子は、日本ならではのアイテムです。ルーツは中国と言われていますが、シンプルかつたたむことができるという機能的な構造は日本で生み出されたものです。扇子にもさまざまな種類がありますが、私は「江戸扇子」と呼ばれる日常使いの紙扇を扱っています。江戸時代、質素倹約を旨としていた武家文化から生まれたと言われる江戸扇子は、骨が少なく、目立った装飾はありません。しかしながら、閉じた時の凛としたたたずまいが美しく、粋という言葉を思わず口にしたくなります。滑らかな竹骨の手触りも心地よく、手にしていると何気なく開いたり閉じたりしてしまうのですが、閉じた時のパチンという音が何ともいえません。

 

扇子と言えば、涼とるために夏に使うのが一般的ですが、現代の暮らしの中では、季節を問わず使う機会が増えています。例えば、コートを着て電車に乗った時や、暖房の良く効いた劇場など、冬でも暑く感じる場所では扇子が活躍します。着物を着る時には、実用性も兼ね備えたアクセサリーの感覚で帯に挟むこともあります。円と直線の幾何学柄には季節を問わないというメリットもありますので、いつもバッグに忍ばせて、ふとした時に使っています。

 

この江戸扇子には2つのサイズがあります。サイズ「大」は男持ちと呼ばれ、男性用として生まれたものですが、大きな風量を得られるので、勢いよく扇ぎたい人に。また、女持ちの「小」は、小さなバッグや、男性のスーツやワイシャツのポケットにも入るということで、季節を問わず持ち歩きたいという人におすすめです。どちらも性別を問わずお使いいただけますが、私は「小」を使っています。なぜならば、背が小さく、腕の長さに対して扇子が大きいと、顔や体に当たってしまい、うまく扇ぐことができないからです。体にぶつかると扇子も傷んでしまいます。開いた瞬間に、ファッションの一部にもなってしまうのが扇子です。選ぶ時には、実際に持っている姿を鏡で確認することも大切かもしれません。

 

3層構造の和紙の間に骨を差し込んで作られている江戸扇子。長期間使わない場合は、購入時に付いていた紙の帯でしっかりと留めて保管してください。もちろん、それでなくても大丈夫。とにかく、しっかりと扇子が閉じられた状態を保つことができれば良いのです。天然素材の竹と紙でできているため、湿気や温度の差で、紙の折り目が緩んだり、骨が変形したりするのを防ぎます。日本伝統のもの作りや、それらとの付き合い方には、四季ある自然と共存するための知恵がたくさんつまっているのです。

 

高橋 理子